二人の幸せを祈りたくなる|昴とスーさん

コミックス紹介

病める時も健やかなる時も変わらず愛情を注ぎ合える関係は一つの理想ですが、試練を受けざるを得なくなった男女の美しい純愛の物語です。すべての人に読んで欲しい、とても美しいお話です。

この漫画はすべての登場人物が優しく温かい人たちで、登場人物の繊細な心理描写と美麗な絵がこの世界観を彩っています。ヒロインの澪は可愛くて、綺麗で、美しく、格好良いと思える最高のヒロインであり、主人公の昴はそのヒロインに負けず劣らず気持ちの良い主人公です。
全6巻で綺麗にまとまっており、トップクラスに気に入っている漫画なので是非ともお手に取って欲しいです。



題名:昴とスーさん(全6巻)
作者:高橋 那津子
オススメ度:★★★★★(95点)
属性タグ:純愛、合法おねショタ、ヒロインが可愛すぎる、主人公が格好良すぎる、繊細な心理描写、美麗な絵、ひとつまみのSF要素有り、嫌な人が出て来ない優しい世界

作品紹介・推しポイント

  • 作品紹介

主人公の昴は、恋人の澪の21歳の誕生日をお祝いをしたその日、原因不明で急に12歳の身体に戻ってしまう。ずっと一緒に住んでいたおばあちゃんもすでに亡くなり、天涯孤独である昴を恋人である澪は放っておけず、家を出て一緒に暮らすことになる。
昴は仕事を辞めざるを得ず、恋人の澪は昴と一緒に暮らす為に働くこととなった。
そんな二人の日常からスタートし、少しずつ少しずつ情報が掘り下げられて、過去の出来事が明かされていく。非常に物語の構築が上手く、ストーリーを読んでいて二人に幸せになって欲しいと祈るような想いを胸に読み進めることになる。

話が進んで行くうちに、理解者が増えて行き、12歳の身体のままでも昴は澪を守る為に前を向いて行く。そんなお話です。登場人物がどれも気持ちの良いキャラクターと優しい世界なところが魅力で、繊細な心情描写と美麗なイラストも相まって、美しい作品に仕上がっています。

  • 推しポイント

まず流麗なタッチで描かれる美麗なイラストが目を引きます。
そして何より澪が可愛い……!昴も格好良い……!ああ、幸せになってくれと願わずにはいられない。二人が大好きです。その二人以外にも、昴が務めていたお店の店長やその奥さん、親友の西尾くんと少しずつ理解者が増えて行くのも良い所でした。

このコミックスは読んで貰わないと、なかなか良さが伝わりづらい部分があります。
子供の頃に聞いた、家でクラシックの音楽がかかっている情景、懐かしくも穏やかな記憶を想起させる緩やかで穏やかな時間に浸れる、そんなお話です。

ストーリー紹介(若干のネタバレ有り)

  • 変化した日常の違和感から少しずつ過去に繋げていく1巻・2巻


物語の始まりは、昴という少年が少年らしくない行動をしている描写から始まる。
少しずつ明かされていく、昴という存在。そして姉のように振る舞う恋人の澪。二人暮らしの奇妙さとともに昴という特異な存在を浮き彫りにさせていく。過去のエピソードも交えながら、二人の関係を描いていく過程はこのコミックスの世界観を存分に引き出しています。
題名の「昴とスーさん」は「少年としての昴」と「青年としての昴」(※スーさんは昴の愛称)という二面性を表現しているのだと思います。

1巻ではその二人の関係性を丁寧な心情描写を交えながら描かれていく。まずは1巻を手に取って自身に合うか試して欲しいと思います。1巻でこの世界観が好きになれなかったら、恐らく作品として合わないと思いますので、手を止めて問題無いと思います。
1巻の最後では、昴が元の青年の姿に戻れないかという一縷の望みに賭けて、澪と一緒に小さくなってしまった現場へと向かいます。そしてどうにも元に戻れないと知り、その事実に直面した二人はこれからも一緒に二人でこの現実と立ち向かうことになります。

2巻では、どうにもならない事を知った昴はずっと胸の奥につかえていた、以前の職場であるイタリアンレストランに足を運びます。本当は借りていたものだけを置いて帰るつもりでしたが、店長と話す機会を得て、そして現在の不可思議な状況を説明することとなりました。
ここで店長が今の昴という存在に理解を示してくれることで、昴の心は救われます。恋人の澪以外にも気にかけてくれる人が居る。また記憶に覚えのない、どこか父親代わりの店長に見守って貰える事で前を向くようになり、今の昴で出来ることを始めて行きます。
本当に一つ一つの心情描写が丁寧で、温かい気持ちになれる作品です。

  • 少しずつ昴の過去に迫るSFミステリーテイストの3巻・4巻


3巻では前を向き、今の自身で出来る事・澪に出来る事をしていく昴と、それを取り巻く周りの少しずつ昴に協力者が増えて行く流れを丁寧に描いて行きます。
そんな中、昴に来訪者が現れます。昴には面識がなく、澪にも面識のない人でしたが、そのおばさん曰くおばさんの病床に臥せっている父親が新聞記事に載った昴の写真を見て気にかけているようで、不思議に思い訪ねて来たという。おばさんより昴に父親に会って欲しいというお願いをされるも、昴は少年となった姿で今更気にかけられているということは、完全に人違いだろうと会うことを断ります。
ただ澪は少し引っ掛かるものがあり、昴には内緒で澪だけおばさんの父親に会うことになります。そこで想定しえない話をその父親から聞く事になり、澪はただ辛い現実に立ち向かう決意を静かに一人でするのでした。

4巻では澪が昴に内緒で一人で昴にできることが無いか、手探りの日々を送ります。しかし、その姿を決して昴には見せない気丈さを持っています。特に一人でお風呂入りながら、思わず泣きそうになってシャワーで音が漏れないようにするシーンはとても切ない気持ちになりました。
澪の奮闘をよそに、昴は親友の西尾が店を開くことを知ります。店長とその奥さんという少しずつ理解者を増やしていた昴は、西尾に自身の状況を伝えることを決意し、お店を開いたら必ず行くという青年だった時の昴の約束を果たすのでした。西尾にも今の状況を受け入れて貰い、西尾が前に進んでいるのを見て昴もそれに倣うように、もっと前へ向くようになっていきます。
昴と西尾との親友としての描写が秀逸で、言葉ではなく絵でそれを伝える、その描写力がとても心地良く美しく感じます。昴と澪の描写も大好きですが、昴と西尾との描写も好きです。

  • 昴の過去と向き合っていく、最後まで美しい世界 5巻・6巻


5巻では昴が自身の身体が少年になった事、その事実と向き合っていく事になります。
それを支える澪と西尾。澪に見せれない弱さを西尾に吐露する昴と、それを支える西尾。読んでいて心温かくなるストーリーです。是非読んで欲しいですね。
そして少年の姿でも、澪の恋人として、澪を守るという決意を昴は固めます。決意の5巻ですね。

6巻は最終巻となり、決意を固めた昴のどのように今の人生を歩み、選択していくかを描いています。
決意をした昴の行動は本当に格好良いですね。そしてどのような選択をしてどのような結果に至ったかは是非ともコミックスをお手に取って確かめてみてください。

作者の他作品紹介

作者である高橋 那津子先生の他作品で単行本化されているもので「紅い実はじけた」があります。

こちらも、高橋 那津子先生の丁寧な心情描写が光る作品です。
表紙のキャラクターの話もありますが、基本的に1話完結でそれぞれのキャラクターの恋愛をテーマに話が結ばれています。昴とスーさんが面白かった!という人は是非お手にとって欲しいコミックスです。

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